「メディアポスト2007」審査結果発表
小中学校を対象にした子どもたちの学習・活動成果発表コンテスト
第12回「メディアポスト2007」の最終審査会が2008年2月15日(金)に行われ、厳正な審査の結果、以下の入賞作品が決定いたしましたのでご紹介いたします。
各部門または作品名をクリックすると受賞作品が閲覧できますので、ぜひご覧ください。
小学校部門
中学校部門
本年度は該当作品がありませんでした。
小学校部門
「こちら、よくし隊 -泊支部-」
鳥取県湯梨浜町立泊小学校
4年しおかぜB組
泊の町に残る伝統的は踊り「泊貝がら節」への興味に始まった一人の児童の活動は、行動・体験を重ねる中で深い理解へとつながっていきます。活動を通じて仲間が少しずつ増えていくのがほほえましい。地域の活性化、環境問題への関心へとその活動が広がっていくのも見所です。
「コウノトリ観察隊」
兵庫県豊岡市立新田小学校
コウノトリ観察隊
2007年5月、自然界では43年ぶりに国の特別天然記念物コウノトリのヒナが誕生した。学校からもコウノトリの観察ができるという新田小では誕生したヒナを「ニッタン(新誕)」と命名し、コウノトリ観察隊のメンバーを中心に観察を開始、その記録がまとめられている。コウノトリに関するさまざまな調査・レポートも必見。
「島根を『ぶち』有名にする!ぷろじぇくと」
島根県益田市立吉田小学校
4年(現5年)
とある調査で全国の中で最も知られていないのが島根県という結果が発表された。この一大事に危機感を持った子どもたちは、自分たちの住んでいる島根県の良さをPRするために企画書を作り、さまざまな取組みを行った。PRのためのキャラやグッズ、やムービーなどアイデアあふれるコンテンツにより島根の素晴らしさを伝えている。
神奈川県横浜市立千秀小学校
5年1組
千秀小での稲作体験学習は30年ほどの歴史があり、地域の協力のもと、地域と密着した大切な学習の機会として続けられている。今年その活動に取り組んだ5年1組の活動の記録を子どもたちの感想などとともにわかりやすくホームページにまとめている。当番を決め全員が担当した夏休みの稲作日誌も必見。
「全校宿泊プロジェクト2007」
茨城県筑西市立竹島小学校
全校宿泊学習実行委員会
竹島小では、1〜6年の全校児童参加による縦割り班での1泊2日の宿泊学習を行っている。同活動の企画・運営はWeb発信も含めて、5・6年生の代表である実行委員会の児童が中心となり進められる。異学年交流により有意義な経験を重ね、それぞれの立場で多くを学び成長している児童の活動の記録がまとめられている。
中学校部門
「ぼくたちの環境問題〜今、できることは何だ!〜」
岐阜県関市立桜ヶ丘中学校
パソコン部
環境問題を大テーマに、役割分担をしたパソコン部の各部員は、身近な関市、地域、家庭における現状を知るところからスタート。その内容も、実際に現地に足を運んだり、調査・分析を行うなど、さまざまな形で取り組んでいる。TOPページの見せ方などにも工夫があり、読み手を意識した内容になっている。
「Flashで学習しよう」
香川県さぬき市立大川第一中学校
パソコン部
さまざまなエネルギーに関して学べる「Energy」、日本語の文法についてゲーム感覚で学べる「文法に詳しくなろう」、世界の地理について学べる「Flashで世界の地理を学ぼう」の3つのコンテンツによる作品群。いずれも学習教材としてFLASHを活用しており、誰もが楽しみながら内容に入っていける工夫が見られる。
「かぐや姫」
愛知県岡崎市立六ツ美中学校
パソコン部
おとぎ話「かぐや姫」を元に、CGと実写を組み合わせ、喜劇風の楽しいビデオ作品に仕上げている。文化祭での上映を目的に制作し、多くの生徒が楽しめるように声優として教師らにも出演依頼。演者と声優を別々に配するなど、その脚本やキャスティングにも工夫が見られる作品になっている。
※郵送応募による非公開映像作品のため作品にはリンクしていません。
「学校周辺のカゲロウ生息調査」
「よく飛ぶ紙飛行機の条件」
秋田県仙北郡美郷町立仙南中学校
科学部
仙南中の科学部による3作品。それぞれの作品は、テーマに選んだ動機、実験方法、実験の実施とその結果、まとめ、今後への展望の順にまとめられている。実験の様子や結果をわかりやすく伝えるために動画、グラフ、写真、アニメーションを使うなど工夫している。
■今年の傾向について
Webページつくりは、小学校や中学生の子どもたちにも、すっかり定着してしまった。最近は写真を携帯電話からアップでき、その場で簡単な解説が入力できる洗練されたブログツールが利用できるようになっている。また、表示についても、スタイルシートを使って全体のデザインやレイアウトを統一化したり、Lightboxスクリプトをつかって、魅力的で効果的な写真拡大表示が出来るようになったので、それほど専門的な技術や知識を知らなくても、プロ顔負けのデザインのWebを作れるようになってきた。コンクールでも、時々見かけの美しさにも驚かされるところもあるが、よく考えてみれば、いいソフトを手に入れた人にはだれでもそのレベルまでは進めるので、最終的な審査員の目は、やはり内容や実際の学習活動にどのような意義があったかに帰着する。「メディアポスト」はメッセージ性を重視したコンテストであり、一番必要なのは、発信者自身がいろいろ活動したり、ひとつの問題にこだわりながら、しっかり学習したり思考したりしたかということなのである。
実は、今回も残念ながら中学校部門に最優秀にあたるものはなく、2年連続で文部科学大臣奨励賞は見送られた。私たち審査員は、小学校の実践の審査の後に中学校を行うので、どうしても評価が厳しくなることは否めないが、中学生なのだから、体験してきたことを写真に撮って、感想を記述するというものではなく、もう少し知的で計画的な研究的側面を強調した作品を期待したいところである。
■小学校部門
さて、今年度、小学校部門の文部科学大臣奨励賞を受賞したのは、鳥取県湯梨浜町立泊小学校の4年「しおかぜB組(特別支援学級)」の児童の学習活動を先生が記録した「こちら、よくし隊〜泊支部〜」となった。この作品は、特別支援学級のひとりの小学生が、泊の町に残る伝統的は踊り「泊貝がら節」を、若者が知らないという事実を知り、なんとかしようと思ったことに端を発し、実際に地域に出かけ、インタビューやアンケートで実態を調査し、その分析結果などを、多くの写真と感想文でつづったものである。
さらに、児童の関心は「今、泊の自然環境はどうなっているか?」と研究の目を広げていった。さまざまな問題に対して「自分たちのできることは何か」「今できる小さなことを実践していこう」と他の児童も巻き込んだワカメの養殖などにも挑戦、環境問題にまで発展していく。1対1の指導が受けることができた特別支援教室の活動とはいえ、ひとつの関心をあたため、実際に調査したり、実験したり、制作したり、経験したりする学習活動の内容はすばらしく、主役の4年生の児童の学習経験や学習活動から、理想的な学習の姿が見えてくる。
優秀賞には、昨年度も優秀賞に選ばれ2年連続の受賞となった島根県益田市立吉田小学校の「島根を『ぶち』有名にする!ぷろじぇくと」と、兵庫県豊岡市立新田小学校の子どもたちによる「コウノトリ観察隊」の2つが選ばれた。
「島根を『ぶち』有名にする!ぷろじぇくと」は、自分たちの住んでいる島根県が全国一地図上の位置が知られていない(有名でない)という事実を知り、島根県をワーストから脱出させるために、活動の企画書を作成し、東西200kmにわたる島根県内での取材活動を行ったり、キャラクターを考えたり、PRアニメーション、PRグッズ等の作成などを行っている。一人ひとりが企画書を作ることからはじまり、島根を有名にするための様々な取組みの成果が掲載されている。例えば「名産品・特産品の紹介」の中では、各グループ単位で県内の様々な名産品・特産品について調査しまとめたスライドが紹介された。また、アニメはユーモアにとみ、おもわず微笑んでしまう楽しさがある。
「コウノトリ観察隊」の作品は貴重なメディア記録でもある。豊岡市立新田小学校では、自然界では43年ぶりとなる特別天然記念物「コウノトリ」のヒナが誕生したことを契機に、「コウノトリ観察隊」を結成して観察を続けてきた。巣搭は学校の近くにあり写真や映像で記録することも行われた。また、関連して、コウノトリも住める環境やコウノトリ育む農法についても調べている。朗読音声付きの絵本(紙芝居)や歌のコンテンツ、「みっちゃく大研究」などの詳細な調査なども行なわれていて、内容のあるメッセージである。
これらの3つの作品は、いずれも、その学校にしかできないような貴重な学習体験を、写真・映像、文章などをうまく組み合わせて、その意義付けまでを含めて、まとめている点が高く評価された。
■中学校部門
小学校の作品における学習活動に比較して、今年も中学校部門には今年度は文部科学大臣奨励賞に値する作品はないと判断された。大変残念である。総評でも述べたように、中学生の学習活動は、小学生の場合のように経験の記録だけでは物足りない。体験したことを対象化して振り返り、その意義を考察するとか、他の活動と比較して検討するとか、より深い学習活動につながっていることを示してほしい。また調査や実験においても、仮説をたて、実験や調査データに基づいて、結論を導き出したり、考察したりするレベルが要求される。
優秀賞は、その点を満たした数少ない作品におくられた。その1つは、岐阜県関市立桜ヶ丘中学校パソコン部の「ぼくたちの環境問題〜今、できることは何だ!〜」である。環境問題に対する現状を聞き、それに対してどんな努力をしているかを、調査研究してしっかり調べてまとめているのが評価できる。産業廃棄物がどのように処理されているか、など日頃私たちが目にすることのない場所を訪れ、実際に取材を行っている点もよい。実験や調査研究の記録や説明にメディアを活用するというのは、中学生らしい学習方法のひとつであろう。今回、2005年度に優秀賞をとった秋田県仙南中学校の科学部からも科学実験をメディアで記録し科学的に考察したいい作品がよせられたが、今回は佳作にとどまった。理科だけでなく、社会調査や国際理解など様々な分野に、メディアをつかった研究レポートが発信されることを期待したい。
もうひとつの優秀賞は、さぬき市立大川第一中学校のパソコン部の「Flashで学習しよう」となった。中学生なりに理科や社会の教材をWebで開発している。色やデザインはもう少し工夫の余地があるが、作品は中学生らしい発想の仕上がりで、これなら友達も遊び感覚で興味を持って学習できるであろう。友達のために学習用ソフト教材をつくるというのは、とてもいいことだと思う。教えるためには、自分が学ばなければならないだけでなく、どのようにうまく説明すれば、わからない人がわかるようになるのか(理解するとはどういうことか)考えなければならないからである。昔と違って、Flashで簡単にインターラクティブな作品をつくれる時代になった。教材を開発することによって、学習内容を学ぶという経験を、多くの中学生に味わってほしいと思うものである。















