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仕事って何だろう?

 

こんにちは、ハルカ先生です。みんなは大人になったら、どんな仕事につきたいかな?
プロ野球選手、弁護士(べんごし)、銀行員、ラーメン屋さん、美容師(びようし)、看護士(かんごし)・・・
そう、世の中にはいろいろな仕事があるけど、一体どんなことをしているんだろう?
ここでは、じっさいに働く大人の人にインタビューして、その仕事の内容や「やりがい」、「よろこび」、「たいへんなところ」などを紹介(しょうかい)していくわよ。

 

第1回 NPO(エヌ・ピー・オー=特定非営利活動法人)ってなに?

わたしたちの大切な海を守りたい・・・

第1回の仕事は、「国際コーラル&マングローブ アクション」というNPO法人(特定非営利活動法人)。珊瑚(サンゴ)や※マングローブの自然保護活動を行っているところなんだって。
NPOって、みんなはどこかで聞いたことあるかな?
NPOとは、「非営利での社会貢献(こうけん)活動や慈善(じぜん)活動を行う市民団体のこと」らしいんだけど、これだけだと分かりづらいよね。そこで、まずは理事長の雨宮 一孝(あめみや・いっこう)さんに、NPO法人の仕組みについて聞いてみました。
特定非営利活動法人 国際コーラル&マングローブ アクション 理事長 雨宮一孝(あめみやいっこう)さん
◇特定非営利活動法人 国際コーラル&マングローブ アクション
理事長 雨宮 一孝さん

 

※マングローブとは、熱帯(ねったい)や亜熱帯(あねったい)の海や河の近くに生育(せいいく)する森林のこと。世界では、東南アジア、インド沿岸、南太平洋、オーストラリア、アフリカ、アメリカなどにあり、日本では沖縄県と鹿児島県にある。

 

「みなさんには、お父さんが会社員という人も多いと思うので、まずは会社とNPO法人の違(ちが)いについてお話しましょう。会社というのは、仕事を通じて利益があがったら、会社の資本を出資している人=株主(かぶぬし)に、その利益を分け合うことになっています。それに対してNPO法人は、利益を分け合わない組織・団体一般(非営利団体)のことを意味しています。そこが、会社とNPO法人の大きな違いです。とはいっても、いわゆる無償(むしょう)で活動するボランティアとも、また違います。NPO法人は仕事を通じて報酬(ほうしゅう)を得ることができます。たとえば、わたしが所属するNPOでは、いろんな人たちに自然をもっと知ってもらうことを目的に、エコツアー(自然や歴史的、文化的な要素を持つ地域に出かけ、それを楽しみ、学ぶ旅行)のようなことを企画(きかく)していますが、そこにかかる費用は参加する人たちからいただいています。ただ、NPOではその報酬を、特定の人が利益にしてはいけません。報酬は、次の仕事のために使ったり、運営のために必要な事務所の経費などに使うことが義務付けられています。だから、いただいたお金はちゃんと税務署(ぜいむしょ)に報告しなくてはいけないんですよ」

 

 なるほど。会社のようで、ボランティアのようでもあるのね。つまり、社会に役立つことを企画して仕事にし、そこで得た利益は、次の社会に役立つ活動に使っていくことがNPOのスタイルなのね。では、NPOをつくるにはどんな手続きが必要なのでしょうか?

 

「NPO法人になるためには、国や都道府県から認可(にんか)をもらわなければなりません。わたしたちのNPO法人は、『環境(かんきょう)の保全(ほぜん)を図る活動』を行う団体として認めてもらいました。つまり、わたしたちの大切な地球の環境が悪くなっていくのを少しでも良くしていきたい、そのための活動をします、ということを申請(しんせい)して認めてもらったのです」

■仕事の内容について

 では、そんな雨宮さんたちがNPO法人をつくろうと思ったきっかけは?

 

「わたし自身、海が大好きで、時間があれば海にでかけていました。そのころの仕事は、海外に行くことも多かったので、いろんな国の海にも行きました。でも、何度も通った海が、何となく前よりきれいじゃなくなっていたり、現地の人たちから『海が汚(よご)れてきた』という声を聞くたびに、心が痛(いた)んでいました。そこで、最初は数人の仲間と、何か自分たちでできることはないだろうかと、考え始めたのがきっかけとなりました。その際に、いわゆる市民活動として何かを始めるよりも、NPO法人として立ち上げた方が、新しい仲間も集まりやすいし、仲間が集まれば、いろんな活動ができると思ったのです」

 

 そうなのね。わたしも海が大好き! だから、雨宮さんたちの活動に興味があるなぁ。いったい、どんな活動をしているんだろう?

 

「現在は、わたしたちの考え方に共感してくれる地元の人たちがたくさんいる沖縄(おきなわ)県の石垣島(いしがきじま)を中心に、珊瑚とマングローブを守る活動をしています。具体的には、エコツアーとセミナー(行動)をいっしょにしたツアーを企画(きかく)して、まずは多くの人たちに珊瑚とマングローブの素晴らしさを知ってもらうとともに、それを守っていくにはどうしたらいいかということを考えてもらいたいと思っています。ツアーの内容は、じっさいに珊瑚礁(サンゴしょう)の中を泳ぎながら、自然のことを学ぶのはもちろん、スクール形式でのセミナーや珊瑚の養殖施設(ようしょく・しせつ)を見学するなどを行っています」

石垣島の珊瑚礁(さんごしょう)
石垣島の珊瑚礁(さんごしょう)

 

 すごい!! わたしも参加してみたくなっちゃった。どんなことをするのか、もっとくわしく聞いてみましょう!

 

「たとえば、『サンゴがわかるシュノーケリング初級コース(2日間)』は、石垣島のポイントを良く知った現地のエコガイドさんが案内をしてくれます。1日目は、まず浅いところでシュノーケリングの講習をしてから、実際に珊瑚が見られる場所まで行って、さまざまな色の珊瑚の様子を見てくるところからスタートします。その後で、ビーチで感想を語り合いながら、珊瑚のセミナー(講習)を実施。自然とサンゴのかかわり、白化現象(はっかげんしょう)とよばれる珊瑚の異変(いへん)、人間と珊瑚の関係などについて学びます。それから、2本目のシュノーケリングを実施。そうすると、最初とは違った珊瑚の姿(すがた)が見えてくるんですね。続いて、珊瑚の養殖や保護育成に取り組んでいる現地の民間企業(きぎょう)を訪(たず)ねて、ソフトコーラルについてのセミナーを行います。ソフトコーラルとは、その名の通り、やわらかい種類の珊瑚のことです。専門(せんもん)的な知識により、珊瑚への興味をより深めてもらうことがねらいです。2日目は、マングローブに向かいます。マングローブの林に入る前にはセミナーを実施して、知識を確認(かくにん)します。それから、マングローブならではの不思議な植物や生物を解説のもとに観察していくんですね」

白くなって枯(か)れてしまった珊瑚礁(さんごしょう)
白くなって枯(か)れてしまった
珊瑚礁(さんごしょう)


イソギンチャクとハナクマノミ
イソギンチャクとハナクマノミ

■珊瑚とマングローブの関係は?

 確かにふつうのツアー旅行とは違って、いろいろなことを学べそうだし、いままでと違った体験ができそうで、聞いているだけでワクワクしちゃう。それに現地の人だけが知っている秘密(ひみつ)の場所に連れて行ってくれるっていうのもステキね。でも、何でこのようなツアーを思いついたんですか?

 

「わたしたちの目的は、自然保護を行う活動にあります。しかし、わたしたちがいっしょうけんめいに自然保護しようとよびかけても、より多くの人たちが意識してくれないと自然を守っていくことはできません。そこで、こうしたツアーを体験してもらうことで多くの人たちに『自然保護』の意識を持ってもらおうと考えたわけです。同時に大切なことは、地元で暮らしている人たちの考えを理解することです。それは、こうして多くの人たちがツアーで訪(おとず)れれば、自然が壊(こわ)れてしまう危険性(きけんせい)もあるからです」

  ツアー「マングローブアクション」の様子
ツアー「マングローブアクション」の様子

 

 そうか! 自然を守りつつ、地元の人たちとのつながりを深くすることも自然環境を守ることの大切な一部なのね。ところで、どうして珊瑚(サンゴ)とマングローブなんですか?

 

「多くの自然が残っている石垣島でも、観光地としての開発などにより、自然が壊れつつあることも事実です。その中で、自然を維持(いじ)・復活させるためには、海と森を同時に守って育てていくことが必要です。たとえば美しい海にするためには、単に海をきれいにするだけではダメで、恵まれた森からたくさんの栄養素を運んでくる川もきれいにしなくてはいけません。その意味で、珊瑚とマングローブは、非常に密接(みっせつ)な関係にあるのです」

根が地上に張り出したマングローブ
根が地上に張り出したマングローブ

■仕事で大変なこと、うれしい瞬間(しゅんかん)は?

 なるほど、海と森はつながっている。つまり、共生(きょうせい)しているのね。ところで、雨宮さんはNPO法人の理事長さんだけど、どんな仕事をしているんですか? また、仕事をしていて大変なことやうれしいことは何ですか?

 

「理事長としての仕事は、NPO法人としての決まりや目的を考えた上で、事業を企画して、それを実行していくことにあります。たとえば、先ほどお話したツアーを実行するためには、企画の内容を決めたり、セミナー用のテキストも作らなくてはなりません。そして、地元のエコガイドさんたちの協力を得ることも必要です。また、自然が相手ですから、安全に実施できるための準備も大切です。こうした作業を、実際に誰(だれ)がどこで何を行うかについて決めたり、指示するのが理事長の仕事です。つまり、わたしの仕事でもっとも大変なことは、そうした企画をちゃんと実施できる体制を築(きず)くことですね。そして、いちばんうれしい瞬間は、やはりツアーに参加した方々が感動してくれた時です」

ツアー体験:ボートでシュノーケリングへ
ツアー体験:ボートでシュノーケリングへ

参加者とのセミナー(講習会)
参加者とのセミナー(講習会)

■NPO法人の仕事、環境保護の仕事に就(つ)くには?

 では、こうした仕事に就(つ)くためには、いまからどんな準備をしておけばいいですか?

 

「NPOの仕事に就くには、その活動を理解するための知識や技術をもっていることが大切です。現在はわたしたちを含めて、NPO法人の仕事だけで生活していくのは大変ですが、今後、NPO法人がより社会的に認知(にんち)されていけば、ふつうの会社と同じように職業のひとつとして認められる可能性は十分にあります。たとえば、自然環境保護のNPO法人であれば、まず自然をたくさん体験して、自然に対する理解と興味をたくさん持つこと。そうすれば、必ず自然が好きになるはず。そして、好きなことなら、勉強も楽しいはずです。わたし自身、好きなことなので、この年になってからエコガイドの資格を勉強して取りました。若(わか)いキミたちなら、もっともっと柔軟(じゅうなん)にいろんなことを吸収(きゅうしゅう)できると信じています」

 

 なるほど、自分が好きなことだったり、興味があることだから、努力できるんですね。最後に雨宮さんから、みんなへのメッセージをお願いします!

 

「これから、いろんなことがあると思うけれど、自分で決めたら、あきらめないこと。そして、『できない』という言い訳(いいわけ)はしないこと。むしろ、『こうすればできる!』っていう言い訳を考えればいい。そうすれば、きっとステキな仕事に出会えると思います」

 

 ハルカ先生からみんなへのおねがい。今回のインタビューを読んで、何か意見や質問があったら、お問い合わせフォームからメールを送ってね。それでは、次回はどんな仕事に出会えるか楽しみにしていてね!